SO日本選手団・ユニファイド卓球チーム&平岡拓晃団長へのインタビューを実施! ~ユニファイドスポーツ®の魅力とは~

「スペシャルオリンピックス(SO)夏季世界大会・ベルリン」が2023年6月25日に閉幕し、世界の舞台でさまざまな経験をしてきたSO日本選手団メンバーへ、SONアスリートアンバサダーが8月10日(木)に世界大会後のインタビューを実施しました。

今回は「ユニファイド卓球チーム」と日本選手団団長の「平岡拓晃理事長」にインタビューを行いました。

ベルリンから帰国し1か月以上の月日が経ち改めて大会を振り返って、海外での試合の感想や、当初の目標が達成できたか等、それぞれの思いをインタビューしました。また、知的障害のあるアスリートと知的障害のないパートナーがチームメイトとなり、一緒にスポーツをする、SO独自の取り組みである「ユニファイドスポーツ®」の魅力についてなど、アスリートとパートナーの強い絆が感じられる、あたたかいインタビューとなりましたので、ぜひご覧ください!

左奥から、ソーントンコーチ、アスリート・森松さん、アスリート・海老澤さん、大隅コーチ
左手前から、パートナー・犬竹祐貴さん、パートナー・犬竹真紗美さん

インタビュー映像 ~SO日本選手団・ユニファイド卓球チーム&平岡拓晃団長~

「卓球」競技・ベルリン世界大会についての質問

■試合相手はどれほど強かったですか?海外のアスリートと対戦してみての感想を教えてください。

【森松さん】初めての国際試合で、日本とは違うタイプやスタイル、見たことないラケットやラバーがあったり、とてもいい勉強になりました。戦術もけっこう増えました。シングルスは、ひとりだけで自らやらなくちゃいけないこと、ダブルスは2人で協力して、どっちかがミスしてもどうにか片方がフォローするやら、こっちがダメならこっちと、逆の考え方をするとか、厳しいラインにきたとしてもそういう作戦でやるという感じでした。

【海老澤さん】海外のアスリートと試合してみて日本の選手と違ったところは、やっぱり戦型が違うというところが1番でした。

【犬竹祐貴さん】試合で勝ってきて世界から選ばれた人たちだったので、皆さん全体的にアスリートもパートナーもすごい強かった、うまかったですね。海外のアスリートと対戦してみての感想は、一人一人が全力のプレーで、すごい熱い、攻撃性のあるアスリートがすごく多かったです。日本だとあまり攻撃しないで守る人が多いんですけど、海外だと攻める卓球をする人が多かったイメージがあります。

【犬竹真紗美さん】海外のアスリートたちは、すっごい上手だなと思いました。試合に慣れている、緊張にのまれていないなと感じました。

■卓球のルールは、日本の試合との違いがなにかありましたか?

【森松さん】そんなにルールに違いはなかったと思います。基本国際試合でも、国内試合でもなにも変わらなかったですね。唯一大変だったとしたら、日本語じゃないだけくらいですかね(笑)。

【海老澤さん】日本の試合とはルール変わらなかったと思います。

【犬竹祐貴さん】一点違うところが、ボールの種類が日本と海外だと違うかなというのがありました。

【犬竹真紗美さん】床が普段練習しているところと違ったので、少し慣れるまでには時間がかかりました。

アスリート・森松奨羅さん
パートナー・犬竹祐貴さん
アスリート・海老澤京子さん
パートナー・犬竹真紗美さん

■卓球は試合の数が多かったと聞きましたが、集中力の維持はできましたか?

【森松さん】ずっと試合が続いていると集中力も続くんですけど、途中できられるとやっぱり辛かったですね。何回かあったんですけど、1回戦やった後に、3、4時間あいた時は、けっこう集中力を続けることは大変でしたね。どこまで集中力がもつかということがあったし、集中を高める時間もきつかったですかね。空きすぎたら辛かったので、どちらかというと試合が終わったらすぐ次の試合と続いた方が、自分のモチベーションも上がって、勝ちやすいというのがありました。

【海老澤さん】時間が空いてしまった時は、ちょっと集中力がなくなってしまったんですけど、(基本的には)集中力のほうは維持ができました。

■卓球の試合を応援して、印象に残ったことなどはありましたか?卓球チームへの感想を教えてください。

【平岡団長】今大会は団長として行かせてもらって、いろんな競技・いろんな会場に足を運んで皆さんの応援をさせてもらいました。卓球も見に行かせてもらって応援席から応援していて、負ける感じがしないな!という感じがしました。非常に安定していて、焦りもないし、自分たちでしっかりと盛り上げることもできていたし、何も不安なく、このペアたちだと大丈夫だなという思いで応援していました。卓球チームは、合宿の時から雰囲気づくりというのができていたのかなと改めて思いました。やっぱり、アスリートとパートナーは、国境を越えて海外に行っての大会で、ものすごく不安だったと思うんですよね。食事も違うし、生活のリズムも違うし。非常に不安だったところを、不安を感じさせないように、コーチたちがしっかりサポート、土台を作っていく作業をできていたおかげで、アスリートとパートナーがのびのびとプレーできたんじゃないかなと思いました。

平岡拓晃団長とパートナーのお二人

【大隅コーチ】合宿からずっと感じていたことなんですけど、良いチームだなというのが最初からの印象です。特に、パートナーのお二人がすごくさりげなく全体を見て、さりげなくいろんなことをサポートしてくださるので、アスリートが安心してできているというのが横で見ていて分かりました。私は、このユニファイドのペアは、本当に世界一だなと思っています。というのは、年齢とか実力とか、助け合いとかというところで、ほぼほぼ理想に近いペアだと思うので、世界に誇っていいペアだなと思っています。

【ソーントンコーチ】試合でアスリートとパートナーを見ていて思ったことなんですけど、お互いにお互いからパワーをもらい合いっこしているなというのが見ていてよく分かりました。例えば片方が、ちょっとイラついているとか、元気がないなという時に、隣からパワーをもらっているのが見えたり、その反対もよく見えたので、みんなとても良いペアになっているんだなと思いました。

■気持ち良く、スマッシュはきめられましたか?あと、世界の舞台で自分の力を発揮できたと思いますか?

【森松さん】存分にスマッシュ打てましたね。かなり! 気持ち良かったかといえば気持ち良かったです(笑)。試合といったら、手を抜くことはとても相手に失礼なことで、スポーツマンシップに則っていないことなので、それが適切だということですかね。

自分の調子も乗れたし、点を取られたり、セットを取られたりもありましたけど、(自分の力が)発揮できたかと言われたら、すべて発揮できた、100%は超えたかな。200%、300%、すべて、自分自身、練習以上が出せたと思いますね。

【海老澤さん】試合では、気持ち良くスマッシュはできました。あと、世界の舞台で自分の力を発揮できたと思います!

【犬竹祐貴さん】自分は守備で、守ることが多いんですけど、スマッシュを決めた時に、応援席からの歓声を聞いた時にすごい気持ち良かったですね。

あと森松君とペアを組んでいたんですけど、森松君の清々しいスマッシュを横で見ていて、自分も気持ち良く、「俺がうったな」ぐらいの感じで、すごい気持ち良く感じていました。

自分の力も発揮できたと思うんですけど、やっぱり応援の力だったり、横にいる森松君からパワーをもらって、自分の100%以上の力が発揮できたかなと思います。

【犬竹真紗美さん】スマッシュを気持ち良くきめられた場面もありました。やっぱりパートナーの海老澤さんが、すごい気持ち良くスマッシュを何度もきめてくれたので、きめてくれた後にお互いが顔を合わせてガッツポーズしたりとか、ハイタッチした瞬間が本当に楽しくて、気持ち良かったです。

【犬竹真紗美さん】スマッシュを気持ち良くきめられた場面もありました。やっぱりパートナーの海老澤さんが、すごい気持ち良くスマッシュを何度もきめてくれたので、きめてくれた後にお互いが顔を合わせてガッツポーズしたりとか、ハイタッチした瞬間が本当に楽しくて、気持ち良かったです。

■大会へ出発する時に考えていた目標はなんでしたか?そしてその目標は達成できたのか、教えてください。

【森松さん】(日本選手団に)選ばれた時から練習内容も変えたり、練習量も増やしたりしていて。世界に出るんだったら、やっぱり“金(メダル)3つ”取りたかったです。残念ながら金3つは取れずに、金1つ、銀2つだったので、実力的にはまだ物足りないのかなと思いました。もしくは、相手が格上で、自分の力を発揮したとしても、レベルの差が、1枚2枚上だったというのはありますね。

どこが悪かったとか全部分析して、日本に帰ってきてすぐに練習に行って、地元の先生に報告して、メダルを見せて「金3つ取れなかった」と先生に言ったら、「金じゃなくてもいい。メダルさえとれればいいよ。合格だよ。」と言われたので、恩返しはできたのかなと思いましたね。

【海老澤さん】目標にしていたことはやっぱり“メダルを取ること”で、ユニファイドダブルスでも金メダルを取りたかったんですけど、銀メダルになってしまったことでした。メダル取れたことは目標だったので良かったかなと思います。

【犬竹祐貴さん】目標は、“金メダルを取りたい”なとは考えていて、けど金メダルを取る以前に、“世界の大会に出るということを全力で楽しみたい”なという目標も立てて頑張りました。実際に大会は頑張れて全力で楽しむことができたので、目標は達成できたかなと思います。

あと先ほど、100%の力を発揮できたと言ったんですけど、やっぱり緊張とかで自分が、100%のうちの50%の力しか出ない中(状況)でも、その中で60%の力を頑張って発揮しよう、というような平岡団長のお話もあって、それも自分の中で目標に掲げていたので、そこも頑張って達成することができたかなと思います。

【犬竹真紗美さん】私はまず、“この世界の舞台に立つこと”を目標にしていました。世界大会に出場できるという発表を受けてから、怪我したらどうしようとか、大きな病気になっちゃったらどうしようとか、毎日(不安が)あったんですけど、まずはこの大会に出ること。そして、2番目に“ペアである海老澤さんの最高のパフォーマンスを出すにはどうしようか”というのを考えたり。そして最後に、“メダルが持って帰れたらな”と思っていました。結果として、メダルを持って帰ることができたので、目標達成できました。

【大隅コーチ】裏方に徹して、“この4人が最高のパフォーマンスで戦えるように”ということだけ考えていました。また自分自身が体調を崩さないようにということも考えていました。結果ものすごい良い成績を皆さん残してくれて、びっくりするような素晴らしい結果でした。でも1番の財産は、本当に良い雰囲気のチームで17日間過ごせたことは、私の中の財産です。

【ソーントンコーチ】実は私は卓球はあまりよく分からないコーチです。自分の目標にしていたのは、“みんながリラックスして、持っているものを出せて、良い思い出を作って帰れたらいいな”、それが私の目標でした。

【平岡団長】 初めて団長を務めるということもあって、“自分ができることはなにか”ということを常に考えながら行動しようと思いながら、ベルリンに行きました。ただ2週間以上、みんなでドイツに行ったときに、本当にいろんなことがありすぎてですね、不安に感じる時間もないくらい、いろんなことが立て続けに起こってきて。でもその度にみんなで協力して乗り越えていこうということ、競技を超えてみんなで支え合っていけたということが、ある意味大会が終わってみて、「日本選手団としてできたことって、みんなで協力してできたことだね」ということで、目標が達成できたのかなと感じることができました。

「ベルリン」での滞在についての質問

■宿舎での食事はどうでしたか?

【森松さん】食べ物はやっぱり日本の食事とは違うなと思いましたし、ドイツの食べ物を調べたらチーズとかだったので、正直に言うと、自分の好物のものしかなかったので、苦はなかったです。けっこう好きなものが多かったので、大丈夫でした。

>【アスリートアンバサダー 小川さん】ちなみにどういった料理がおいしかったですか?

高カロリーのもの、チーズとかばかり食べていましたけど、ごはんとかはなくて、フランスパンとか、そういうものが多いので、チーズとか生ハムとか、アレンジしたものを食べたりしていましたね。

【海老澤さん】日本の食事と違ってパンが多かったので、私はパンが好きだったので良かったです(笑)!

■ベルリンで観光はできましたか?ベルリンで過ごした感想を教えてください。

【森松さん】観光は一通り行けましたかね。自分はそもそもどこが有名なとか分からなかったので、でも、自分が行きたいところは一通りは行けたので良かったです。けっこう思い出はできたかなと思います。けどどちらかと言ったら、観光というよりかは試合のほうへ頭が強くなっていて、試合の組み方とかイメージトレーニングとかしていたので、観光は(試合が)終わってから頭のスイッチが切れたというか、見ていて楽しいなとかありました。それでも、少し試合が早く終わった時は、ブラっと行ったり、料理を食べておいしかったり、お土産コーナーとか、「アイ ラブ ベルリン」のお店とか、思い出になるものも買えたので良かったなと思いました。

【海老澤さん】大隅コーチや、ソーントンコーチのおかげで、ベルリンの観光も楽しくできました。

■海外のアスリートと交流はできましたか?友達はできましたか?

【森松さん】交流はできましたね。試合期間中はなかなかできなかったですけど、ほとんどすべて(の試合)が終わったころから、隣の台で練習していたら「一緒に練習してくれませんか?」と言われて、「一緒にやろう!」と練習できました。いい練習ができたり、あまり日本にはいないタイプとか、けっこう自分でもいい勉強になったかなと思いました。

あと、友達というよりどちらかというと、ライバルが増えたかなと思います。ライバルとしては今回、金(メダル)を取った人がライバルかなと思いますね。

【海老澤さん】海外のアスリートとは、一緒に写真を撮ったりできたので良かったです。

【犬竹祐貴さん】海外のアスリートとかパートナーとかも交流はできたんですけど、一点、自分が英語をしゃべれなかったので全然お話ができなかったことがあって、もうちょっと英語を勉強してから行けば良かったなというのがありました。でも最後、空港で外国の方とすれ違った時に「またね!」って握手とかしたのがすごくいいやつだったなと思って、また会いたいなと思って、自分の中ではいい友達になれましたね。

【犬竹真紗美さん】交流は少しでもできたかなと思います。埼玉からピンポン玉で作ったキーホルダーを持参したので、そのプレゼントを渡して、向こうからもお返しがきたりして、自分も英語不足なのでお話はできなかったんですけど、笑顔でコミュニケーションは取れました。すれ違う時とかに「Hi!」と言ってもらうとこっちもにこやかになって楽しい思い出になりました。

■世界のスペシャルオリンピックスの雰囲気をどう感じられましたか?

【平岡団長】すごく大きな規模で、大会が開催されたんだなということを改めて思いました。非常に多くの方が集まってくれて、本当にベルリンだけではなく、国全体で盛り上げる意味では非常に興奮しました。また今回、ウクライナのアスリートたちが参加してくれたことがすごく嬉しかったというか、スポーツを超えて世界が注目していたなかで、ウクライナのアスリートたちがベルリンにきて一緒にプレーしてくれたことは、すごく今後のスペシャルオリンピックスの歴史にも残るような大会になったんじゃないかなと思いました。

開会式の入場行進

【大隅コーチ】自分の気持ちを表現するのに歌を歌ったり踊ったりするという文化が日本にはそんなにないので、最初はすごくびっくりしたんですけど、ある意味うらやましいなと思いました。服装とか髪型とか、本当に自由だったので、日本の学校で校則に縛られている日々が、少し世界基準からずれているような気もしながら、良い経験をさせていただきました。

【ソーントンコーチ】私はワールドゲーム(世界大会)には何度か行かせていただいているんですが、特に開会式や、それより前のホストタウンプログラムでもそうなんですけど、すごく歓迎されているんだな、特にホストタウンプログラムでは、言葉では言い表しづらいんですけど、みんなに歓迎されている、みんなに祝福されている、みんなに応援されている雰囲気を感じて、「あ、ワールドゲームだな!」と独特な世界だなと毎回思っています。

ホストタウンプログラムの様子
ホストタウンプログラムの様子
閉会式

「ユニファイドスポーツ®」についての質問

■ユニファイド卓球やユニファイドスポーツ®の楽しいところや魅力を教えてください。

【森松さん】ユニファイドといったら、全然違って、健常者(知的障害のある人)と障害者(知的障害のない人)という、普通のダブルスは健常者同士、障害者同士ですけど、なかなか聞いたことがない、スペシャルオリンピックスだけの特別な試合だと思います。どこまでお互いに信じ合えるかとか、言わなくても分かるくらいだと心強さがありますかね。

【海老澤さん】シングルスとは違って、ユニファイドダブルスは2人で試合ができるので楽しいです。

【犬竹祐貴さん】健常者(知的障害のある人)、障害者(知的障害のない人)関係なく、みんなで全力で、勝ち負けというよりかはみんなで楽しんでやっている雰囲気があるのがいいなと感じています。今までファミリーとかお手伝いで来てくれたボランティアの方とか、全然卓球をやったことがないのに、急に「ユニファイド卓球やって!」と言って、まったく未経験なんですけど全力で汗をかきながらやっている姿を見ると、すごく楽しいですね。今後もユニファイドがもっと発展していければ、スペシャルオリンピックスとしても、もっと盛り上がっていくと感じています。

【犬竹真紗美さん】知的障害のある方と一緒にやるということで、本当に区別なく、差別もなく、一緒に同じ立場になってできるスポーツって、本当に素敵だなと思います。特にユニファイド卓球のダブルスでは、海老澤さんも「楽しかった!」と言ってくれたんですけど、試合に2人で挑めるというところ、同じ気持ちを持った2人で、同じの目標に向かって試合をできることは、本当に心強いし、楽しい競技です!

【ソーントンコーチ】ユニファイドスポーツ®は、知的障害のある人とない人が、一緒にスポーツを楽しむ、これはスポーツ版の理想の世界。スポーツを飛び出た一般的な社会でそれができると、 “インクルーシブな世界”になる。スポーツっていうのがスペシャルオリンピックスの手段で、その手段、スポーツの中でユニファイドスポーツ®というのができたんですけど、スポーツの未来が、どの競技も当たり前にユニファイドになればいいのかなと思います。

【大隅コーチ】自然な形で交流できるのが、ユニファイドスポーツ®の良さかなと思います。特にこの卓球チームは、どちらかが戦術を考えたり、どちらかが司令塔になるのではなく、2人で考えてやっていたところがいいと思います。ともすればユニファイドは、パートナーがリードしがちな部分が出てしまうんですけど、(卓球チームは)本当にフィフティフィフティで、対等に戦えるペアであったことは私の自慢でもあり、誇りです。

【平岡団長】このユニファイド卓球チームに関しては、先ほど「楽しい!」という言葉もいっぱい出ましたし、本当にパーフェクトだと思います。このユニファイドってなんなのかと考えた時に、日常生活で、社会で、自分たちが気づかなかった部分を、スポーツを通して気づかせてもらえる部分が実はいっぱいあるよね、とメッセージ性を持った、しかもスポーツからそれが発信できる、ひとつの大きなコンテンツになっていくんじゃないかなと思っています。しかもそれを、この卓球チームは、卓球をしていない場面、競技から離れた場面でもお互いサポートし合う、助け合う、相互理解し合う、ということを、おそらく自分たちが気づかないうちにそれができていた、だから今回のアスリートとユニファイドパートナーは完璧なチームが出来上がって、日本選手団としてベルリンに行けたんじゃないかなと思いました。

■ユニファイドペアの試合で、お互いのチームワークはどうでしたか?

【森松さん】けっこう前から何十回も(一緒に)試合も出てたので、意外と言わなくても分かっているよね、みたいなことが多いですかね。基本大体練習している時からでも、試合でも、大体分かっていることが多いので、「言わなくてもこれだろうな」という気持ち的に通じ合っていたので、言うことはないくらいでした(笑)。長年やっているので、心強さもあれば。祐貴さんは守備型なので、どちらかというとフォローすることが多い方で、自分が攻撃が多いので。サーブで得点取れたりとか、相手を崩してくれたりとか、お互いの強さ、ダブルスの中の1番の強みかなと思いますね。

【海老澤さん】私は犬竹真紗美さんに助けれられて、ベルリンでの試合ができたと思います。

【犬竹祐貴さん】先ほど森松君が言ってたように長年組んでいるので、お互い「こういうプレーやりたいんだろうな」というのが分かってはいたんですが、「そんなに俺って分かりやすいのかな?」というのを(森松さんのお話を)聞いて思いました(笑)。でもそれくらい、自分のことも森松君も分かってくれていましたし、自分も森松君がこういうプレーしたいんだろうなと分かって、僕は守備型なので、どう森松君を盛り上げて、テンション上げていくかというところを意識して、チームワークとして自分はどう動こうかなというのを考えていました。

森松君は横でフォローしてくれて、どちらかというとチームワークとしては(森松君が)引っ張ってくれていたのかなと、ドイツから帰ってきて感じていて、森松君には感謝だなと思います。

【犬竹真紗美さん】 先ほど海老澤さんが私のおかげでと言ってくれたんですが、私こそ海老澤さんのおかげで、あの舞台にしっかり立っていられました。やっぱり長年組んできた中で、うまくいかないことも一緒に乗り越えてきたし、うまくいきすぎた時もお互いどうやって冷静になろうというのも、時間を掛けながらやってきたこともあったので。私はどちらかというと、気分を盛り上げるのは得意なんですけど、落ち着くということが苦手です(笑)。海老澤さんが逆に落ち着かせてくれるので、冷静な顔で「ちょっとストップ!」っていう視線を送ってくれるので、そういうところでお互いに足りないところを補い合ったりとか。あと、得意な方がもっといい方向に向かうように引っ張っていったりとか、できるようなチームワークはあったと思います。

たくさんの応援をしてくださった皆さんへメッセージ

【森松さん】無事にメダルが取れて、無事に帰ってきたことが、まず、ありがとうございましたと言いたいし、金メダル3つは取れなかったですが、金でも銀でも銅でも、メダルさえ持って帰ってこれれば(という思いがあったので)、気持ち良く帰ってこられたかなと思いました。スポンサーのかたや、ボランティア、パートナー、コーチや団長さん、応援してくれたベルリンの方には感謝しています。これからも頑張ってレベルアップしていこうかなというのもあります。普通の感謝じゃ足りないくらい、泣いて感謝するくらい、皆さんにありがとうございましたと言いたいです。ありがとうございました。

【海老澤さん】埼玉からファミリーが来てくれたおかげと、ソーントンコーチや大隅コーチ、平岡団長のおかげで、3種目とも良い色のメダルが取れたので、感謝しかないです。ありがとうございました。

【犬竹祐貴さん】今回金メダルを取れたことは自分ひとりの力じゃなくて、ユニファイドということで森松君と一緒に取れたということもあるんですけど、その中で平岡団長だったり、ソーントンコーチや大隅コーチが陰で支えてくれたっていうところで、今回ドイツで自分たちの力が発揮できたかなと思います。あとやっぱり、日々の活動を支えてくれるボランティアやファミリー、ヘッドコーチや埼玉の事務局の方、皆さんの応援とか日々の支えがあったからこそ、自分たちが世界の舞台に行けたんだなと感じました。あと1番身近で意外だったのが、職場の中で、みんなが歓声を上げて送り出してくれたと思ったら、帰ってきたら「おめでとう!!」ってまた歓声を上げて、おめでとうの会とかも開いてくれたことがすごい嬉しかったです。本当に1人の力じゃ金メダル取れなかったとすごく感じるので、皆さんにありがとうございましたと、感謝を伝えたいです。

【犬竹真紗美さん】本当にたくさんの応援ありがとうございました。私たち埼玉から来た4人がこの世界の舞台で輝いていたのは、日頃一緒に練習してくださっている埼玉のアスリートだったり、ファミリーの皆さんだったり、コーチの皆さまのおかげです。そしてベルリンでの、日本から一緒にいったワールドゲームのチーム(日本選手団)の皆さんのおかげでもあります。何より平岡団長の「大丈夫!!」というガッツポーズは本当に力になりました。会場で目があったりすると、ホッとしました(笑)。陰で支えてくださっていた大隅コーチもそうですしソーントンコーチも、本当に多くの人に支えてもらったなと思います。もちろん家族にもたくさんサポートしてもらいました。メダルを取ることができたので、メダルと共に、これからたくさんの方々に感謝を伝えていけたらと思っています。

【ソーントンコーチ】ワールドゲームもナショナルゲームもその前の地区競技会でも、いつも思うんですけど、やはりスペシャルオリンピックスっていうのは、いろんな人に支えられて成り立っているんだなと、つくづく毎回思います。日本の皆さんはもちろんそうですけど、今回の大会を企画・運営してくださったベルリン・ドイツの皆さんに本当に感謝しています。ありがとうございます。

【大隅コーチ】私たちがベルリンの地に立てたのは、本当に有形無形のたくさんの支援とサポートがあったからこそというのは絶対忘れてはいけないなといつも思っています。だぶんこのベルリンの17日間は、私の人生のものすごく大きな部分を占める日々だったと思うので、感謝しかないです。卓球の皆さんの頑張りを忘れたくなくて、日本に帰ってきてから動画を作ってみました。たぶん「スペシャルオリンピックス夏季世界大会2023 卓球」で検索してもらったら出てくると思うので、よかったらご覧ください。作った目的は、皆さんの頑張りを残しておきたいと思ったからです。本当にありがとうございました。

【平岡団長】 本当に多くの方の支えによってこの大会が開催されましたし、私たちも(ベルリンへ)行くことができました。本当に感謝いたします。いただいたご恩というものをしっかり次に繋げていきたい、次に返していきたいと思いました。個人的にオリンピックでは経験できなかったような気づきとか学びとか、あと感動を、スペシャルオリンピックスのベルリン大会で感じることができました。本当に素晴らしい大会だったなと改めて思います。そして皆さんが本当に良い顔で、ここでまたお会いすることができたのが、団長としても嬉しく思います。

番外編 ~平岡拓晃団長からのインタビュー~

■世界大会を経験して、自分の中でなにか変化はありましたか?

【森松さん】そんなに変化はなかったですかね。唯一変化があるとしたら、2・3日後練習に行った後に、体調を崩したことくらいです。

【海老澤さん】私は次の目標に向けて、また真紗美さんと一緒に頑張っていきたいなとは思っています。

【犬竹祐貴さん】森松君とチームワークがいいようで、自分も日本戻ってきたら時差ボケと日本の湿気にやられて体調を崩していました(笑)。

自分の中で変わったことというのは、今まで全力で取り組もうとしていたところ、自分の体調とかも含めても、100%の力で頑張ろう頑張ろうとなっていたのを、このドイツに向けて平岡団長からいろいろお話してもらって、(コンディションが)60%でも60%の内ちゃんと60%出せればいいんだよというところで、日常の生活や仕事とかでも、今の自分がどの状態なのかっていうのをちゃんと考えて、その中で自分も頑張ろうかなと、実践するように心がけるようにしました。

【犬竹真紗美さん】メダルを取れたってところから、日頃から自信がない中で生活しているんですけど、ちょっとだけでも自信になりました。世界の舞台で試合をできたっていうことと、勝利もつかめたというところで、今までやってきたことは無駄じゃなかったかなと思うので、自分を褒めてあげようかなと考えが変わりました。

アスリードアンバサダー感想

【船内さん】前回のインタビューと同じく、今回も緊張しました。ベルリン大会のお話を聞いて、僕もいつか世界大会に行ってみたいと思いました。

【浅野さん】2回目のインタビューで、緊張もなく言えることができました。ベルリン大会のことを聞いていて、私も昔ドバイの大会(アブダビ大会)に行った時に諦めたことが何回かありました。けど、成長してできることもあったけど、(今回)諦めずに前を向いて切り替えるっていうのを聞いて勉強しましたので、また来年も大会に出たら諦めずに前を向いていきたいと思います。

【小川さん】自分でもちょっと緊張はしましたけど、皆さんのお答えする内容を聞いて共感したりとか、あと卓球の試合のことを聞いて、皆さんが頑張っている姿を想像ができました。貴重なインタビューをさせていただきありがとうございました。

本件に関するお問い合わせ


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スペシャルオリンピックス日本 経営企画部