アスリートがみた ナショナルゲーム ~スペシャルオリンピックス2022広島 大会レポート~

スペシャルオリンピックス日本(SON)アスリードアンバサダー第2期が制作に取り組んだ配信番組「SONアスリートアンバサダーが“伝える” スペシャルオリンピックス(SO) ~Be with all~」。

本番組の「chapter1:アスリートによるSO取材 ~レポーターに挑戦!~ 」を担当した田中晴樹さんは、昨年11月に開催された「2022年第8回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・広島(NG広島)」の大会取材をおこないました。

前回大会(スペシャルオリンピックス2018愛知)では、選手としてテニス競技に出場した田中さんですが、今大会はSONアスリートアンバサダーとして大会を取材し、アスリート目線でSOならではの大会の雰囲気を感じたり、アスリートやファミリー、コーチ、ボランティアなど、大会に関わるたくさんの方々にインタビューをおこない、レポートにまとめました。

アスリートがみた ナショナルゲーム

レポーター

SONアスリートアンバサダー
田中 晴樹 さん(SON・福岡)

はじめに

前回大会(スペシャルオリンピックス2018愛知)では、選手としての出場(競技:テニス)だったので、テニス一点絞りで考えていましたが、今回観客の立場で見ると何を感じるだろう?と思い、前からずっと、この視点でSOを楽しみたかったので、今大会の観戦を楽しみにしていました。

今回の取材をとおして、オリンピック・パラリンピックとは違う、もう一つのオリンピックがあるという楽しさを伝えていきたいです。

開会式 

開会式前、僕はアスリートたちがいる控室に行ったのですが、最初は、皆さん緊張されているようでした。ですが、開会式が始まると、みんなと楽しい空間を味わっていて笑顔を見せていました。

観客は、この日を待っていたかのように手を振り、その気持ちが伝わりました。また、有森さんの気持ちの入った挨拶スピーチを聞いた誰もが、(有森さんが)泣きたい程、この大会に力を入れていたんだなと、感じたと思います。

柔道”をレポート!

今大会から、ナショナルゲームの正式競技になった柔道。普通の柔道大会とは違い、主審からのルール注意が、観客の方にもスピーカーで流れ、そのルール説明が分かりやすく、柔道を学びながら観戦できる楽しい試合でした。 

―会場の雰囲気

ユニファイド形式で、アスリート対知的障害のない広島県内の、高校・大学に所属する柔道部の方との対戦があり、会場全体が、アスリートを応援する気持ちと、ほっこりした気持ちに包まれ、よりアスリートも楽しく柔道が出来ていたと思います。

 ―参加者の様子

大会スタッフは、選手達が礼をする前に「アスリートが柔道を始めたきっかけ」や「今、頑張って習得している技などの紹介」を放送していました。とても分かりやすくて良かったです。

インタビュー(柔道アスリート&コーチ

(Q1)ナショナルゲームに出場できてどう思いましたか?
(A1)凄い機会を設けてもらってウキウキというか楽しみです。

(Q2)昨日はディビジョニングがありましたが、どうでしたか?(このインタビューは、大会3日目です。) 
(A2)デビジョニングで、あくまで練習でしたが、地元広島の崇徳高校の柔道部とできたのが嬉しかったです。色んな人と出会えて良かったです。

(Q3)ヘッドコーチに質問です。これまでのアスリートの試合を見てきてどうでしたか?
(A3)昨日のデビジョニングで、アスリートの緊張はありましたが、地元の高校生と練習できたのが嬉しいです。楽しそうに生き生きとしていたので、次の試合に繋げてもらいたいです。

柔道アスリート
広島国際医療福祉専門学校のボランティアの皆さん

インタビュー(ボランティア) 

(Q1)ボランティアに参加したきっかけを教えてください。
(A1)学校の作業療法士の先生が、大会関係者から聞いて、学校の授業の一環としてボランティアに参加しました。作業療法は、身体障害や、精神障害のリハビリなど幅広く活躍するため、その勉強としてボランティアに参加しました。

(Q2)ボランティアでは、どのような事をされますか?、そして今の気持ちを教えてください。
(A2)閉会式のプラカード係になっています。とても緊張しています。

(Q3)SOの柔道競技の試合を見ての感想を教えてください。
(A3)審判も、アスリートをサポート・支援していると思いました。(試合中、反則の)説明があったので、柔道の素人でも分かりやすかったです。ユニファイド柔道では、(アスリートが)良い技をかけた時に、ちゃんと技をかけられていて、それ以外の時は、そうじゃないよと、サポートしているのが分かりました。(※主に、アスリートが、足技として成立しない仕掛けをした時は、かわしたりていたのを指します。)また、アスリートの皆さんのエピソードを交えた司会進行が良く、親の気持ちになりました。

”サッカー”をレポート!

僕は福岡県のアスリートなのに、他県の応援をしてしまうぐらい、両チームのプレーと、ユニファイドの連携のチームワークが印象に残りました。皆さんの白熱した試合に、サッカーの取材をして良かったと思いました。

ー会場の雰囲気

ピッチで取材をしたのですが、選手やコーチの熱気と、観客・ボランティアの皆さんの祈る様な光景は、2020年の声出し応援禁止の全国高校サッカー選手権大会ぐらいの、特別な空間だと思いました。敵味方関係なく、どの選手がいいプレーしても、拍手喝采でした。

―参加者の様子

両チームのゴールキーパーが「どっからでもシュート打って来い!」と言う強い気持ちが伝わりました。

この大会は、副審や第4の審判なしの試合のため、主審さんは、選手の交代のジェスチャーや、ボールがラインアウトした時の、次の指示などがあり、選手より、かなりの緊張感があるんじゃないか?と思いました。ただ試合を見ても、かなり笑顔でさばいていて、主審さんもナショナルゲームを楽しんでるなと、感じました。

インタビュー(SONドリームサポーター玉田圭司さん

(Q1)SOを初めて知った経緯を教えていただけますか?
(A1)名古屋グランパスにいる時、SOの話を聞き、自分でも調べて知りました。

(Q2)ドリームサポーターに就任した時は、どんな気持ちでしたか?
(A2)最初は不安な気持ちもありましたが、(SOが)どういう雰囲気か?どういう子達なのか?を見ながら考える気持ちが楽しかったです。

(Q3)今回のナショナルゲームではサッカー競技をご覧になられたと思いますが、玉田さんご自身が、試 合に出場したり、ベンチで見るのとは別に、今回観客として見るサッカーはどうでしたか?
(A3)僕の好きな言葉に、『スポーツには夢がある』という言葉がありますが、改めてスポーツには、夢や希望が与えられるという、新たな発見がありました。

(Q4)玉田さんが「ナショナルゲーム」をどう感じられたか教えてください。
(A4)一生懸命楽しんでやる、スポーツを熱中してやる、そんな人は他の事も頑張れるようになると思います。そんな、何かに繋がる大会だと思いました。

SONアスリードアンバサダーインタビュー

2022年から1年以上、年間を通じて、オンラインでの定例ミーティングを実施し、互いにコミュニケーションを図りながら、SO活動やアスリートについて、より多くのかたに知ってもらうための取り組みを行ってきた、第2期SONアスリードアンバサダー。このスペシャルオリンピックス2022広島の現地で初めて第2期メンバー3人でリアルでの対面を果たし、田中さんから伊藤有希さん(フライングディスク競技出場)、洲崎雅裕さん(開会式の司会を担当)のお二人へインタビューしました。

第2期アスリードアンバサダーアンバサダー初めての集合写真!
(左:洲崎さん、真ん中:伊藤さん、右:田中さん)

伊藤有希さん(SON・山口)

(Q1)開会式で入場行進の時に、ステージに上がった時の気持ちを教えてください。
(A1)ステージにおられる有森さんと室伏さん(スポーツ庁長官)と目が合って嬉しかったです。お客さんが手を振っているのを見た時は『いよいよ、これからだ』と思いました。緊張せずに楽しもうと思いました。

(Q2)フライングディクスク2種目(アキュラシーとディスタンス)で、金メダルを取った感想をお願いします。
(A2)アキュラシーのデビジョニングでは2枚しか入
りませんでしたが、決勝では4枚入り、ディスタンスでは予選よりも遠くに飛ばせて、2つ金メダルを取れて嬉しいです。

洲崎雅裕さん(SON・広島)

(Q1)今回ナショナルゲームの開会式の司会に選ば 
れた時の気持ちを教えてください。
(A1)ビックリしました。今回はサポートする立場
として、頑張って行こうと思いました。

(Q2)司会を終えた時の気持ちはどうでしたか?
(A2)『大きな役目を終えたな』という達成感がありました。

(Q3)今大会のバスケの試合で、SON・広島のアス
リートを見ての感想はありますか?
(A3)最初の2試合は動きが硬かったですが、4試合目から全員で得点を取って点数に結びついて、展開は接戦になり、勝利もしたので、残りの試合も全員の力で全力で試合に挑んでもらいたいです。

有森裕子大会会長へインタビュー!

(Q1)ナショナルゲーム・広島の大会ロゴは、どう やって決まったのですか?
(A1) 平和を願って、全ての人が集って、笑顔で、彩る大会にしたい、と言う願いを込めて、もみじをモチーフにし作られました。

(Q2)今回のナショナルゲームは、コロナ禍での特
別な大会になりましたが、次回は、どんな大会にしていきたいですか?
(A2)次は、第8回目となる冬季大会(長野・北海道の分散大会)ですが、今回のナショナルゲームと同様に、アスリート達、ひとりひとりが一生懸命輝いて、頑張れる大会にしたいです。

あとがき

今回初めてナショナルゲームを取材してみて、「アスリート全員が主役だ」ということが分かりました。 

団体競技で気づいたんですが、チームのキーマンが見つからないのと、陸上を見に行った時、会場全員が、選手全員を応援しているので、そう思いました。

ナショナルゲームは、アスリートにとって皆が応援してくれる場所だと思いました。アスリートは地区大会より、大人数がいる場所に立っていて、観客は、誰もが特定の人を応援するわけではなく、アスリート全員を応援していました。僕もナショナルゲームに出場したアスリート全員に、拍手を送りたいと思いました。

 また、アスリート以外の方にもたくさん取材してみて、 『SOの活動という新しい体験に触れて、とても楽しかった』という声を聞けて、僕自身もとても嬉しかったです。

※アスリートがみた ナショナルゲーム ~スペシャルオリンピックス2022広島 大会レポート~ の
全レポートは<こちら(PDF)>!ぜひご覧ください。

※「SONアスリートアンバサダーが“伝える” スペシャルオリンピックス(SO) ~Be with all~」は、アスリートアンバサダー3人それぞれが個別でテーマを担当し、計4つのchapterに分けて制作。SOの活動や魅力をアスリート自身の言葉で届けます。SON公式Youtubeにて、配信中!ぜひご覧ください。

【chapter1:アスリートによるSO取材 ~レポーターに挑戦!~ 】
【chapter2:SOのスポーツ活動 ~SO独自のルールや特徴を取材!~ 】
【chapter3:Be with allの可能性 ~パートナー企業・リーグに聞く!「スポーツと社会」~ 】
【chapter4:SONアスリートアンバサダー座談会 ~未来への思い~ 】

本件に関するお問い合わせ


お問い合わせは下記フォームからお願いいたします。

スペシャルオリンピックス日本 事務局