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アスリートストーリー

「アテネがくれたもの」大里 美欧さん(陸上競技)

4年に1度の夏季世界大会「2011年スペシャルオリンピックス夏季世界大会・アテネ」が開催され、日本選手団として参加したアスリートがどのような経験をして何を感じたのか、大会前の「アテネへの道」の続きとして大会後のアスリートの経験談「アテネがくれたもの」を全3回でご紹介します。

第1回目はアスリートとファミリーでは村山 恵さん(ボウリング)、小林 洋祐さん(水泳競技)、大里 美欧さん(陸上競技)3人の世界大会での経験談と、その活躍を見守ったファミリーの感想をご紹介します。

「アテネがくれたもの」 大里 美欧さん(陸上競技)

美欧さんは言葉が話せず自分の考えを伝える事が出来ません。
自閉症が分かったころから脳の活性化のために走り始め、美欧の名のもとアテネの地での活躍するためトレーニングに励みました。

大里 美欧さんファミリーより

世界の舞台に立つアスリートの姿を見て

娘が開会式で入場行進する姿を見た時、私は「遂にここまで来た!」との思いで胸がいっぱいになりました。私は若い頃からヨーロッパが大好きで、生まれてきた娘にも「美しいヨーロッパ」という意味で美欧と名付けました。将来ヨーロッパを舞台に、学問・美術・音楽…何かの分野で活躍する女性に育ってくれる事を夢見て。しかし娘が3才を過ぎた頃、重度の自閉症だと分かって、その夢は潰えたかに見えました。その頃からです、娘と共に走り始めたのは。娘をランナーに育てようと思った訳ではありません。有酸素運動で脳を活性化させるという、療育トレーニングとして取り組んだのです。

雨の日も風の日も必死に走りました、娘を何とか良くしたい思いで。そのおかげで娘は長距離走が得意になり、校内マラソン大会、高知県障害者スポーツ大会、やがて全国大会で活躍するようになりました。
そして3年前、SON高知・陸上プログラム立ち上げの話があり入会した時、アテネ大会の存在を知りました。夢を叶える絶好のチャンス!そう思い、さらにトレーニングに励んだ事は言うまでもありません。そして今回、遂に夢は現実のものとなりました。
ヨーロッパ・オリンピック発祥の地でアスリートとして活躍する日が訪れたのです。


世界大会の感想

世界大会参加の意義、目的には記録・成績のみならず、長期間親元を離れて暮らし自立心を養う事、日本選手団は勿論、広く世界の人と交流する事が掲げられています。しかし私は「他人とコミュニケーションをとるのが苦手な娘にそれは無理」と思いました。娘の世界大会参加の意義・目的は記録達成のみ、との思いが強かったのです。ところが、いざ大会が始まってみると予想外の不振、私の気持ちは焦り、 段々と落ち込んで行きます。そんな私を元気づけてくれる出来事がいくつかありました。
ひとつは3000m決勝の時。何と有森団長が応援に駆けつけて下さったのです。私の応援も過激な事で有名ですが、その私も顔負けの大声で、観客席最前列の手摺から身を乗り出して娘の名前を呼びながら応援して下さったのです。こんな事はスペシャル・オリンピックス世界大会でないと経験出来ない事ですね。おかげで娘はスタート直後こそ最下位だったものの、徐々に追い上げ、3位入賞する事が出来ました。もうひとつは1500m表彰式の時に起きました。2位の娘の横に立つ4位のアスリートがしきりに娘に話しかけ、ガッツポーズをとるよう促してくれているのです。その時娘はその子の顔をジッとのぞき込んでいました。この行動は誰に対してもとる訳ではありません。気になった人、気に入った人に対してのみです。八塚コーチのお話によると、その子は表彰台に上がる前の控えの場でも娘に親切にしていてくれたそうです。
その後、娘は日本選手団のところに戻って来ましたが、ここでも嬉しい光景が!チームメイトの中田さんが大喜びで娘を迎えて肩を組んで一緒に写真に写ってくれました。こんな光景を見て「娘にも大会を通じて国内外に友達が出来たんだ!」と感激で目頭が熱くなりました。


初めてのヨーロッパ2人旅から11年

娘を初めてヨーロッパに連れて行ったのは小学4年生の夏でした。折角「美しいヨーロッパ」と名付けたんだから、ヨーロッパで活躍するのは無理としても、せめてヨーロッパに連れて行こう…そういう訳で娘とのヨーロッパ2人旅が始まりました。以後計6回ヨーロッパを旅行しましたが、それは障害のある娘をサポートして私が連れて行ったヨーロッパでした。しかし今回は違います。娘が自力で掴んだ代表の座・ヨーロッパ行きです。私は娘に連れて行ってもらったようなものです。「連れて行ってもらった」と言っても一緒に行動した訳ではありません。娘は私の手から離れて、選手団の一員として行動したのです。初めてのヨーロッパ2人旅から11年…こんな夢のような日が訪れるなんて、その当時は予想もしていませんでした。

【大会に関するお問い合わせ先】

スペシャルオリンピックス日本事務局 大会担当
Tel:03-6809-2034/Fax:03-3436-3666
Mail:son_cc@son.or.jp

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